蝶と柊 ~冷たくて甘い君~




如月くんは、それから何も言わずに前をスタスタと歩いていってしまう。



「ま、待って!」



転びそうになり、慌てて私は彼の腕を掴む。



し、しかも如月くんが向かってるそっちは学校方面の出口じゃないよ!?



「学校、行くんじゃないの?」



「……行きたくない」



「えっ?」



思わず心の声が漏れ出てしまう。



「学校いくの憂鬱だし、窮屈なんだよ、俺」



そう言う彼の目は優しく閉じられていて、瞳の奥に何を見ているのかは伺えない。



“学校いくの憂鬱”



うぐ、、



今日の私もそこは一緒だ。



昨日のことはあんまり覚えてないけど、やっぱりまだちょっぴり怖い。



だからそこはわかる…ような気がするけど、窮屈って何なんだろう。



でも、ついさっき知り合った仲だし、干渉できないし。



知りたいけど聴くのは野暮だと思った。



…っていうか!早く学校に行かないと遅刻しちゃう!