「俺のは半分こしよ。羽瑠甘いの好きでしょ」
この様子を見ていた母さんがクスッと笑った。
「ふふっ、びっくりしたわ~。俐月がこんなに優しい顔をするなんて」
「えっと、俐月くんはいつも優しいです!」
「そうね~。それは羽瑠ちゃん限定なんじゃない? それに、俐月が他人にこんなに気を許してる姿もはじめて見たわ。わたしたちにもなかなか見せない表情を、羽瑠ちゃんには見せてるみたいだし」
俺はもともと自分の家が好きじゃなかった。
霞見グループの御曹司として将来を約束され、親が敷いたレールをそのままたどるだけのつまらない人生に嫌気がさしていた。

