「わたしは平気だよ! それより俐月くんが――」


「俺のことはいいから。ほら手貸して」

「わっ、俐月くんの手あったかい!」


ほんとなんで俺の心配ばっかしてんの。


俺の心配より自分の心配しろって何回も言ってんのに。


小さな手をギュッと握って、自分のコートのポケットに入れた。


「これ、内緒で手つないでるみたい……だね」


わかりやすく頬が赤く染まってる。


これくらいで顔赤くするって、どんだけ慣れてないんだろ。


普段俺ともっとすごいことしてんのに。


「はっ、でもこれだと俐月くんの手が冷たくなっちゃう」


「だから、俺のことは気にしなくていいんだよ」


羽瑠はいつだって他人優先。


自分のことは後回しにしがちで、人に尽くしたり他人をものすごく大切にする。