こっちを向いてくれない。
こんなふうに俐月くんと距離ができたままなのは嫌だ。
たぶん、もうほぼ何も考えてなかった。
「好き……。俐月くんが好き……っ」
はじめて出会ったときも。
『人に尽くすのもいいけど、もっと自分のことを思いやるのも大事って話』
悪い人に絡まれて、助けてくれたときも。
『俺がここまで気にかけるの羽瑠だけってわかってる?』
子猫を助けて、びしょ濡れで帰ってきたときも。
『羽瑠は羽瑠らしくしてたらそれでいいんだよ。今だって、誰かのためを思って行動してる羽瑠は優しいよ』
ひとりでおびえてたときも――。
『羽瑠はもっと俺に甘えること』
思い返してみれば、好きにならないわけなかった。

