このところ、ジョサイアをひどく悩ませていたはずの結婚式も、もう既に終わってしまったというのに、彼は私のドレスのことをまだ気にしてる様子。

 契約妻にも気を使う優しい夫に、私は微笑んで肩をすくめた。

「気にしないで。ジョサイア。あんな豪華なドレスを一から作り直すなんて、何ヶ月掛かると思っているの? 王家専門のお針子室が不眠不休でサイズ直しをしてくれて、まるで私用に最初から誂えてくれたみたいだったわ。素晴らしい技術よね。貴方も、素敵だったわね……今日はゆっくり休んで。邸に滞在中の親族の手前、形だけでもここに来ただけで、私はすぐに隣の自室に行くわ」

 そう言って私がこの部屋の続き部屋、つまり自室の扉の方向へ歩き出そうとすると、ぼんやりとしていたジョサイアは慌ててベッドから立ち上がった。

「待って! レニエラ。少し、話をしないか。結婚式まであまりに多忙過ぎて、僕たちはこれまでにろくに話し合うことが出来なかった。ゆっくり話そう。その……僕らの、これからのこととか……」

 そう言ってジョサイアは、私に近くにあるソファを指差した。

 確かに彼が私と話せていないと言ったことは事実なので、それもそうかと軽く頷いて、柔らかなソファへと腰掛けた。