『帰国したあの日から…あたし達、1度もキスしてないよ』
『…………』
涙目の大きな瞳が至近距離で俺の目を見つめる。
1枚の布団の中で一緒にいて、しかも抱きつかれている状態で 心臓はバクバク状態だっつうのに。
なんなんだよ…コイツは。
『もしかしてあたしと…もうキスしたくなくなっちゃった?』
『そんなこと一言も言ってねぇだろ』
『じゃあ、どうして陸はあたしにキスしてくれないの?』
そう聞かれたところで、お前の父親との約束は口が裂けたって言えない。
手を出すなって…言われてから、俺は愛理にキスするのでさえ躊躇していた。
何も答えない俺の態度に愛理は
『陸、好きだよ。陸はあたしのこと…好き?』


