「ちょ、ちょっと…近すぎない?」


まるで恋人同士がキスしそうなくらい、近すぎる距離にあたしは思わず後ずさりする。


だけど、背後には更衣室のドアがあって…これ以上は後ろに動けなくて。


「クスッ。オドオドする愛理先輩もかわいいな」


「またあたしのことをからかって。なんで、あたしのことをいつもからかうのよ!」


「はっきり言わなきゃわからないんですか?そりゃ“好き”だからでしょ」


「!?」


思考が完全にストップ。


「あれ?先輩、固まっちゃった?」


────すき?


誰が…誰のことを?


当たり前だと言わんとばかりに、あまりにもサラッと言われた言葉に思考が追いつかない。


「お~い。 聞いてる?先輩ってばぁ~」


目の前で藤咲くんの手が何度も左右に振られている。


そして、最後はこう言われたんだっけ。


「ってことで、オレ…愛理先輩のことが好きなんです。だから、オレのことも考えてくださいね!」