ゆっくりと背中に手を回し、俺のブレザーを愛理が強く掴む。
「お前なぁ……」
俺がその手を引き離そうものなら
「イヤッ、もうちょっとだけっ!」
と言って、もっと力を強めてきて、絶対に手を離そうとしないで俺を困らせる。
はぁ……やっぱりコイツは俺の気持ちなんて、全くと言っていいほど気づいていない。
今、俺はお前が思ってるよりも…ずっとずっと
お前のことが好きだし──・・・
俺だって、こうしてお前のことを 強く抱きしめたいってそう思ってんだぞ。
そのうちにも、胸に伝わってくる愛理の温かさに甘い考えが頭に浮かんできた。
『手、出すなって…』って言っても
こんぐらいは許されるよな?
つーか、この小さな背中に手を回すぐらいの行動は、手を出すうちに入んないはず。
心の中でぼやくきながら、ここが外だと言うことも忘れ、愛理を抱きしめようと手を伸ばそうとした…その瞬間
───チャリン、チャリンッ♪


