陸は澄んだ瞳で前を見つめ、こう言葉を続けた。
「俺…ずっと誕生日も、俺を産んですぐにこの世からいなくなったかあさんのことも大嫌いだった。だけど…今こいつと一緒にいて毎日が楽しいんだ。だから、愛理に会わせてくれた…かあさんに今すげぇ感謝してる。俺を産んでくれてありがとう」
「グスッ…陸」
また涙が溢れ出しそうになると、その涙ごと、あたしを受け止めるかのように広い胸の中へと導かれた。
「うるさいクセして泣き虫だよな?わがままかもしれないけど、親父さんに話す前にここで言わせて欲しい」
「……なに?」
「俺 あの時、親父さんとの約束を破ったし、お前の家から出て行こうとした。でも、ちゃんと決めてたことがあるんだ」
「どういうこと?」
「つか、その前にお前のその顔どうにかしろよ」
涙の跡が残るあたしの頬を陸がシャツの袖でゴシゴシと拭いてくれた。
「まだ俺、ガキだけど……」


