「驚かせてゴメンな。ここに俺のかあさんが眠ってる。つーか、実際に会ったことはねぇけど」
視線を伏せて悲しそうに笑う陸に、胸がキュッと締めつけられそうになる。
「俺の誕生日がさ…かあさんが死んだ日なんだよな」
「…………」
「で、このカーネーションの花がかあさんが好きだったっつう花らしい」
淡々と話す陸の話し方から、お母さんとの思い出がなに1つ現実として残っていないことがわかった。
そう思った時は、頬に涙がスーッと伝わっていて──・・・
「お前を泣かせるために、ここに連れて来たんじゃねぇぞ」
陸が困ったような顔をして、親指で涙を拭ってくれた。
「ぅっ…だって……」
「あの時、お前の親父さんに言わなかった大事なことをここで言おうと思って連れてきたのに…」
「なに?大事なことって」
「お前が泣きやんだら教えてやるよ」


