「あっ、ここで停めて下さい」 「えっ?ここって」 陸がタクシーを停めた場所は、高台にあるたくさんの緑の木々に囲まれた…大きな霊園だった。 タクシーを降りるなり、陸があたしの手を握り歩きはじめる。 どうして誕生日に、こんなところに…? でも、なぜか陸に理由を聞くことができなくて 陸が手に持っている赤や黄色の花を見つめながら、大きな手をしっかりと握って隣を黙って歩いた。