すぐにでも 家を出て行く?
「えっ? 陸…なに言ってるの」
声が震えているのが自分でも分かる。
すると、陸はいきなりソファから腰を上げて立ち上がり、パパとママに深く頭を下げて…こう言った。
「短い間だったけど、本当にお世話になりました。荷物はまた…後で取りに来ます」
「どこに行くつもり?」
陸の腕を握ると、なんとも言えない優しい笑みをあたしに向けてくれた。
でも握った手は…昨夜 見た夢のように簡単に離されて、陸は部屋から出て行ってしまった。
「ヤダッ!陸、待ってよ!」
その後は…ホントにあっと言う間だった。
陸は自分の部屋に戻ると、最低限の荷物だけをポーターのリュックに入れて…すぐ部屋から出てきた。
そして、その足で急いで玄関に行き、今度はブーツを履きはじめた。
「陸、行かないでよっ!パパもお願いだから…陸をとめてっ!」


