「じゃ、ここから出て行くんだな?」
「……はい」
「ちょっと陸、待って!簡単に覚悟が きてるなんて言わないでっ!もう陸と離れるなんてイヤだよ」
陸がこの家を出て行くってことは、またアメリカに行っちゃうってことでしょ。
いつまでかかるかわからない…陸のお父さんの海外赴任。
またあたし達、離れ離れになっちゃう。
そう思うと、すぐに涙が溢れてきて視界が歪んで見えてきた。
「お願い…パパ。あたし…ずっと陸と一緒にいたいの」
「…………」
あたしがお願いしてもパパは黙ったままで、睨むようにこっちを見ているだけで──・・・
「とにかく俺が悪いから、すぐにでも家を出て行きます。でも謝ることはできません。謝るようなことをしたって…コイツに思わせたくないから」


