私とその子…陽葵はクラスが離れた。
私にとって、新たな引き立て役を探さないといけないと思うと、荷が重い。
だけど、部活では引き立て役は陽葵だし。
きっと新しいクラスでも引き立て役はいるだろう。

そこで仲良くなったのが同じ部活の柚奈だった。
柚奈は陽葵と同様にノリは合うし、顔は陽葵と同じくらい。
何よりよく言うことを聞くのだ。
これで男子とまたいれる。

ただ私には予想外のことがおきた。
陽葵が、クラスで馴染み始めたのだ。
最初は人見知りでいつも影に隠れる陽葵のことだから、馴染めなくて私に泣きついてくるのかと思っていた。
それなのに、彼女は新しいクラスで友達を作り、男子とも自然と話していた。

「なんなのよ、あいつ…。」
なんであんなにかわいくない子が男子に好かれるの?
本当に男子って見る目ない。

「陽葵ー!ちょっときてー!」
私は昼休み、友達に囲まれる陽葵に声をかけた。
陽葵は私の方を一瞥すると、前の席の男子に声をかけて、それから私の方に向き直った。
「ごめん、今忙しいから。」
冷めた顔、目、声。
全てが私の中で崩れた。

なんで私が振られてるの?
いや意味わかんないし。
「陽葵ー、これってどー書くっけ?」
陽葵の前の席の男子がくるりと後ろを向いて陽葵に声をかける。
「えっとねー、」
その顔はいつもの陽葵と変わらない、
いい笑顔だった。