「そんな気にしなくていーよ。ま、でもこれからは気を付けなね?怪我するから。」 「あ、え…はい。」 優しすぎる、ぶつかった先輩に戸惑いながら頷く。 何なんだろう……この人。 分からない、分かれない。 顔は見えているのに全て真っ黒に塗りつぶされて何も見えないようだ。 「フッ、じゃーね。」 「……。」 満足したように背の低い私の頭を撫でたあと、手をひらひらしながら去っていった。 さっきの人は誰だったんだろうか……? その疑問が頭に浮かんだのはもう少し後のことだった。