「少しだけ、僕とデートしてくれませんか?」



私が、掴んだ裾の、
すぐそばに、手を伸ばしてくる男の人。



「〜〜っ、」



びっくりして、
手を引っ込めようとした瞬間。



「.....................っ、いいなら、
僕の手、握ってくれませんか?」



まるで、〝無理強いはしないよ〟



そんな風にも、
言っているように聞こえる男の人。



(神さま、ほんの少し、
弱虫な私に勇気をくださいっ、)



心の中で神さまにお願いしながら。



「〜〜っ、」



ほんの少し、
ためらいがちに、首を立てに振りながら。



私は、目の前の男の人の手を、
──────ゆっくりギュッと握った。