キリッと目線をテディ達6人に向けて私は歩みました。
 だけど、その心中は。


 ここでコケたら、そのまま恥辱で死ぬ、でした。
 正装のロングドレスは裾が長くて、さばくのが大変なんですよね。


 『下を見ずに歩け』なんて、他人事だと思って軽く仰ってくれたわね。
 そりゃ貴女は、そういうの得意だけどね。


 固い私の表情を見て、テディの傍らに立つエリザベス・デズモンド・パーシヴァル公爵令嬢が笑いました。
 愛されている女性の余裕がエリィにはありました。


 緊張で固くなった私を笑いやがって、とムカつきました。
 こちらも敬称は取って、この先はエリィとしますね。


 6人の前に立つ私は、殊更丁寧に時間をかけてカーテシーを致しました。



 今から私の婚約破棄と。
 それに伴う断罪がテディによって始まるのです。
 彼は既に国王陛下から許しをいただいていて、この場を借りて始めるのです。



「マッカラム嬢、本日を持って、そなたの婚約は破棄とする!」

 それからご自分の背後を振り返って、こう叫ばれたのです。


「ルーカス・ファルガー・ハモンド!
 貴様も元婚約者の隣に並べ!
 婚約者であったマッカラム孃より訴えを受けて、この婚約精査致した!
 不貞の証拠も添付していた同令嬢の訴えを認め、貴様有責の婚約破棄願を受理した!
 不貞相手のミシェーラ・ハロゲートも一緒にここへ!」


 いいよ! テディ! 格好いいじゃん!
 嫌がっていたけれど、いざとなったらやれるひとだね!

 だけどこれからが長いから、最初からずっと叫んでいたら、後が続かないよ?