エヴァはお別れを言いに、ウチに来てくれた。


「で……結局、お断りしたの?」

「お断り、と言うのじゃなくて。
 事故物件令嬢には優良物件令息は勿体無いのでは?と言いました!」


 はぁあ~、もう!何で!かな!
 何で、ライオネルを断る?


 彼は優良中の最優良物件でしょうに!
 エヴァ、もう貴女は事故物件じゃなくて、本物の残念令嬢だよ!



 それも断り方がえげつない。
 勿体無い、なんて言われて、そうですか、と諦めるライオネルじゃないでしょ。


 それに、ライオネルなら、と身を引くつもりだったカイルまで、またその気になってるみたいだし。



 あぁ……彼等の気持ちを考えたら、えげつないよ。
 せめて、告白してきたライオネルだけでも、きちんと振ってあげてよ。
 自覚なし、って始末におえないわね。



 あの、ちょっと近寄りがたい宰相夫人のライオネルのお母様、モンゴメリー公爵夫人からも可愛がっていただいている情報は入手してるのよ!


 あの御方がお姑さんになるなら、この先は社交界で上手く立ち回れるはずよ?
 それなのに断っちゃったか……


 だから余計なことなんだけれど、つい言ってしまった。
 ニコニコしてご機嫌にしているエヴァに余計なことを。



「今は、すごく気分がいいの!
 自分は自分だけのもので、これからはなりたいようになれる、みたいな……」

「ライが駄目なら、カイルは?」

「……あのー、私はセオドア・セブン以外の選択はしちゃいけないの?」