おぉ~とうとう言ったわね!

 ライオネル、ってば……
 彼が送別会に遅れてきたのは、エヴァのお父様の仕事先まで面会に行って、これから結婚を申し込ませてください、と挨拶に行っていたから、だって。


 次の婚約相手は決めるのは娘本人で、親は関知しないことにした、と言われたらしいけれど、お父様だってきちんと挨拶されたら、悪い気はしないわね。

 本人にもまだ何も言っていない段階で、親の許しを得ようとするなんて、エヴァの外堀を確実に埋めてくる辺り、さすがにライオネルは腹黒ね。



「君に結婚を申し込むよ!
 だから、行くな!」


 それを聞いた私以外の人の驚愕っぷりったら……笑える。
 本当に今まで、ライオネルの気持ちに皆気付かなかったの?
 まぁね、エヴァ本人さえ口を開けてる笑



 私達が初めて顔を揃えたあの日。
 5歳になったエヴァが初めて王城にやって来た。

 同い年のテディと私、それから3歳上の公爵家のライオネルは遠縁だから、それ以前にもちょくちょく顔を合わせてた。

 で、そこにアレンとカイルとルーカスが王妃陛下に連れられて、合流するようになって。
 この時にはエヴァは居なかった。


 でも、アレンが良く話していたから。
『僕の妹』の、あんな話、こんな話。

 実は、アレン以外の私達5人には『妹』が居なくて。


 テディは第3王子で末っ子。
 ライオネルには5歳下の弟。
 カイルには3歳上の姉が居て。
 ルーカスは4歳上の兄。
 私は一人娘。


 それでまだ会ってもいない、アレンの妹が皆の妹になっちゃったのだ。
 アレンが話す妹との、あれこれが。
 皆とエヴァとの、あれこれになっていた。
 私とテディとルーカスはエヴァと、同い年なのにね?


 そして、念願のエヴァとの初対面。
 艶やかな黒髪に、キリッとした青い瞳は、その眼差しの方角によって、灰色が混ざり、銀色が混ざり。

 アレンは自慢の妹に鼻高々で。