在学中から彼と、彼の『真実の愛』のお相手は、片時も離れず。


 これは決して比喩ではありません。
 ふたりが知り合って、この1年。
 さすがに授業中は諦めていたみたいだけど。
 (クラスが違うから笑)
 休み時間等は文字通り、ぴったりくっついていたのでした。


 びっくりするよね、アホだよね。
 ちょっとは人目を気にしろよ、って話です。
 お陰さまで私は『愛されない婚約者』と知られていました。


 そんな離れないふたりの姿に学園生は賛同する方もいれば、呆れている方もいて。 
 まぁね、大半はどうでもいいから何も言わないのを、当のふたりは知っていたかしら。


 それでも婚約者のお家と彼女のお家は釣り合いが取れなかったので……
 ご両親には言えなかったのでしょう。

 彼らの真実の愛も、卒業したら終わるのだと、私も、私の家族も、周囲の方達も、その様に見ていたから。
 静観していたのです。




 式次第に沿って、パーティーは進行していきます。
 国王陛下からの御祝いのお言葉をいただき、その後学園長の開会宣言。

 続いてこの年度の生徒会長で、同じく本日ご卒業された第3王子セオドア殿下が壇上に立たれました。
 王家の人って、黙って立っていると格好いいんです。 
 金髪碧眼の容姿端麗、ってやつです。


 第3王子殿下の傍らには、殿下の愛するひとエリザベス様がいました。
 エリザベス様はシュガーピンクの柔らかそうな髪と夢見るような菫色の瞳の持ち主でした。


 彼女の今夜のドレスは、すご~く高そう~です。
 ゴールドの煌めくドレスに合わせているのはスカイブルーの宝石が嵌め込まれた首飾りやブレスレット。


 自分のお色をまとわせて、セオドア第3王子殿下の彼女に対する執着心が駄々漏れです。