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「先程、お前達2人の家には連絡をした。
 これから直ぐに迎えが来るだろう。
 追って沙汰が下されるまで、自宅で謹慎するように」

「殿下!これはどういう事なのですか!
 婚約破棄など個人的な事です!
 どうして私達が皆の前で、こんな目に?
 私は真実の愛に巡り会った。
 偽りの結婚はしたくないから、この後マッカラム嬢には解消を伝えるつもりでした。
 まだ婚約段階です、結婚してから不貞を行う夫より余程誠意があるでしょう!
 追って沙汰など仰らずに、ここで詳しくお教えいただきたい!」


 今の今まで主であり友人でもあると、信じていたテディに宣告されてルーカスは混乱しつつも怒りを隠せていません。


 それに出席者全員の前で、自分有責の婚約破棄と言われたことで、プライドの高いルーカスは頭に血が上ったみたい。


 こらこら、不敬ですぞ。
 テディの後ろには国王陛下だって居るんだから。


 テディに対しても口が達者なルーカスですが、隣にいるミシェーラはさすがに言葉もなくひれ伏して、ただ震えるばかり。


 貴女、一昨日は図書室でルーカスに腰を抱かれて、私のことを憐れむように嗤っていたね。
 このパーティーが始まってからも、周囲に対して得意そうに声高く笑い声あげてたね。
 ひとりで出席した私を、何度も勝ち誇った目で見ていたね。



 私は知っている。
 貴女のその素敵な今夜のドレス。
 貴女のお家じゃ買えなくて、ルーカスからのプレゼントでしょう?

 彼の瞳の色をした淡いグリーンのドレス。
 彼の髪色のゴールドのアクセサリー。


 全部ルーカスからのプレゼントだよね?
 それを受け取った自分の罪を、貴女はわかっている?



「ここで詳しく言え、と? 」


 ルーカスに確認するように尋ねたテディは悲しげに見えました。