悪女は今日、初恋を知る。



「俺の悪女にならないか?」
「女避けしてくれたら、バイト代も出すし家に住まわせてやるよ、どう?」


 そう問われた瞬間、
 あふれ出る涙が、まるで光のように輝く。


「悪女扱いには慣れているので構いません」
世浪(よなみ)くん、引き受けます」


「――よし、決まりだな」
「これからお互い名前で呼び合うってことで」

 (こう)くんは優しく笑う。


「今日からよろしく」