僕は天井を、見上げる

お母さん…
どこからとも無くお父さんの声が聞こえる

「大陸、お母さんは多分、忘れているんだと思う」

「えっ。嫌だよ。何で? 僕らの事を? あり得ないよ。嫌だよ」

「僕らの事…かぁ大陸
台本やセリフは覚えられる?」

「えっ覚えられると思うよ。でも僕アイドルになりたいな」

「あはははははは」

何で笑うんだろうと思った。

「まあいいや大陸、楽しみにしているよ」

そこまでで、心のお父さんは消えてしまった。


お母さん、お母さん、大丈夫?

僕やお父さんの事、忘れているって本当なの?どこに居るの?
東京だといいな

ばあちゃんの小遣いで、電車で行ける範囲…

僕が全部、教えてあげるよお母さんに

何が楽しかったとか、何が嬉しかったとか、全部


どんな時に辛くて

どんな時にお母さんに居て欲しかったとかも


ふえん


「大陸ーお友達が、サッカーやろうって」

「うん今行く」