真っ黒な長い髪が風に揺れる。


私、川瀬愛は新しい高校の門をくぐった。

隣に居る父はスーツを着こなして真っ直ぐ前を見ている。

父の横を私は黙って歩いていた。


「いいか、お前は俺の言う事だけを聞いていればいい」

威圧的に言う父の顔を見れず


「うん、」


とだけ言った。



コツ、コツと地面から音が鳴る。



いつも、そうだった。


私の意見なんて関係ない。 父が黒だと言えば白も黒。




そんな父が嫌で母は家を出て行った。私を置いて。