双子パパは今日も最愛の手を緩めない~再会したパイロットに全力で甘やかされています~

 ほぼ全員が帰った寮でひとりアルバイトに明け暮れていた茉莉に、実家暮らしの紗空さんがよく家に呼んだという。

 結局俺は、茉莉のことを何も知らなかった――。



 茉莉と出会ったのは三年前のヨーロッパ。エーゲ海。

 あのとき俺はひとりでのんびりしようと休みを取った。決めた場所はギリシャ、エーゲ海に浮かぶサントリーニ島。

 白い壁と青いドーム。見渡す海。色の少ないかの島で、予定を立てずにただのんびりとして三日ほど過ごすつもりでいた。

 島へ向かった日、地中海はかなり荒れていてクルーザーは激しく揺れた。

 さほど大きくない船だったのもあるんだろう、椅子に座っていてもテーブルに掴まっていないと椅子ごと転ぶほどの揺れに、多くの客が船酔いに苦しみはじめた。

 俺は平気だった。子どもの頃は乗り物酔いもしたし、パイロットの訓練生だった頃は空酔いで苦しんだ経験もある。だが、訓練の過程で鍛えられ、今では乗り物全般酔わない。