双子パパは今日も最愛の手を緩めない~再会したパイロットに全力で甘やかされています~

 彼になにも言わないのはフェアじゃない。

「茉莉?」

 名前を呼ばれて、思考の波から引き戻された。

 航輝さんに差し出されたお皿には、地中海料理が盛りつけてある。フェタチーズにブラックオリーブという、三年前を懐かしくさせるグリークサラダ。揚げたお魚のマリネ、エスカベッシュも想い出の料理。

「ありがとう」

 地中海料理なのは偶然なんだろうけれど、ちくちくと胸が疼く。

「さっきはごめんなさい……酷い言い方して」

「いや」

 彼はにっこりと微笑みを浮かべてグラスを傾ける。

 そういえばと、ふと気づいた。

 彼が手にしているのは新しいグラスだ。

 パイロットやCAは飛行勤務前八時間以内の飲酒が禁じられているし、アルコール検査も厳格なので、彼は連休の前でもないとアルコールを口にしなかった。

 明日フライトじゃないのかな。

 気を取り直し、地中海料理を口にする。