双子パパは今日も最愛の手を緩めない~再会したパイロットに全力で甘やかされています~

 泣いたりしてごめんなさいと謝る私の涙を、彼は親指でぬぐってくれた。

 唇を重ねたのは、どちらからだっただろう。

もしかしたら、私からだったかもしれない。ただ彼の温もりが欲しかった。

 私は誰とも付き合ったことがない。恋をする心の余裕も時間の余裕もなかったから。

キスすらも初めての経験だった。わずかな怯えが伝わったのか、彼はやめてようとしたけれど、私が左右に首を振ったのだ。

『この島を離れたら忘れるから、今日だけでいいの』

 彼の優しさに身をゆだねたかった。

 地中海の甘い想い出で、過去の傷を洗い流したかった。

 今思えば、彼からは私を抱くつもりなんて一ミリもなかったと思う。

 見ず知らずの私を助けてくれるような優しい人だもの。涙に濡れた瞳でジッと見つめられて、断れなかったんだろう。

 微笑んだ彼はうなずいて、両手で私の頬を包み『後悔しない夜にしようと』と、耳もとで囁いた。

 繰り返されるキスに私は夢中になって、悲しみも辛さもすべて、彼がくれた熱の中に溶かしたのだ。