双子パパは今日も最愛の手を緩めない~再会したパイロットに全力で甘やかされています~

 お世辞でもそう言ってもらえて、ちょっとうれしかった。

 クルーザーに乗ってすぐ、私はイタリア人の男性に誘われて、イタリア語ではっきりとその気はないと断ったのである。

『仕事で、イタリアにはときどき来るんです』

『なるほど。それで雰囲気もそれらしく?』

 女性の一人旅ゆえに目立ちたくはない。私は肩より少し長い髪をグレーベージュに染めて、ゆるく後ろでまとめていた。服装は彼と同じ白シャツにジーンズというラフな格好にサングラス。実は不安でどきどきだったが、地元に住む旅行者のような顔をして澄ましていたのだ。

『黒髪は目立つかと思って、明るい色に染めていきたんです』

『こっちの男は、日本人の漆黒の髪が好きだからね』

 彼の言う通りでもあるし、良くも悪くも日本人女性はおとなしいという印象がある。強引に誘えばなんとかなると、思われてしまうのかもしれない。

 仕入れのための旅はいつもなら祖母、もしくは祖父母と一緒だから気にならなかったが、ひとりでナンパされるのは、やっぱり怖い。