双子パパは今日も最愛の手を緩めない~再会したパイロットに全力で甘やかされています~

 明るめのチークに、ゴールドのアイシャドウも入れてみる。息を止めて慎重にアイラインを引き、マスカラをつけ、ワインレッドのドレスと同じ色のリップをひく。短い爪には、ネイルチップも忘れずに。

 ひと通りメイクアップが終わり、あらためて鏡を見れば、華やかに変身した別人のような自分がいた。

 心が弾み、笑みが浮かぶ。忘れていた女心を取り戻した気分だ。

 おしゃれも、飲み会に参加するのも本当に久しぶりで、よく考えてみると出産後は初めてである。今夜は特別。よし、思い切り飲むぞと胸を躍らせた。



「ここかな」

 ショップカードを手に、ビルの前で立ち止まった。

 六本木の路地にある雑居ビル。店の名前は『氷の月 』というが看板はないとある。紗空が手書きで付け加えてくれた目印によれば間違いないはずだけれど。

 念のためぐるりと辺りを見回すと、ハッとするような美人と目が合った。

 よく見れば、なんと人気ファッションモデルのLaLaだ。すでに引退したはずなのに、相変わらずの美貌に圧倒される。