角を曲がり、すでに見えなくなったフェリーチェを振り返る。

 茉莉の部屋に泊まりたいのはやまやまだったが、不安要素はすべて解決しておきたい。まずは弁護士に会いに行き、麗華と彼女が書いた念書を受け取った。

 なにに対しての謝罪か、自分がどんな過失を犯したのか、今後どうするかを本人に詳細に書かせただけでなく、彼女の両親が証人になっている。

 これで、麗華の件は解決した。

 一旦家に帰り、旅行の準備を済ませると、すでに夜の帳が落ちていた。

 次に向かったのは氷の月だ。燎には店に行くと連絡してあるが、忙しい男なだけにいるかどうかわからない。せめて、仁にだけでも直接礼を言いたかった。

 だが幸い、店には仁だけでなく燎もいた。