それにしても、なぜスーツケース?
「どうぞ。子どもたちは上にいるの」
「ありがとう」
彼はスーツケースのほかに紙袋を下げていて、ソファーの脇に並べて置いた。
「もしかして、またおもちゃ買ってきたの?」
「いや、今日は服」
満足そうににんまりと笑みを浮かべる彼に迷いは見えない。昨夜のプロポーズも取り下げるつもりはなさそうだ。
まいったなと心で呻く。
スーツケースの中身は? もしかして連泊するつもりなのか。
でもお休みは明日までじゃなかったの?
聞く勇気はないので、見なかったことにする。
「コーヒーいれるわね」
そのままキッチンに向かうと、彼がついてきた。
彼が差し出したのは細長いケーキの箱だ。
「幼児向けのお菓子を買ってきたよ。甘さ控えめでクリームに豆乳を使っているらしい」
「ありがとう」
早速開けてみると、ロールケーキが入っていた。
「今日からよろしく」
「えっ?」



