「きっかけはそれだけだ。あとは彼女の父、湖山氏が俺を跡継ぎに欲しかったのもあったんだろう。彼女はひとり娘だ。俺には兄がいて、神城の家は兄が継ぐことになっているからね。だが、俺の意志も我が家の意志もそこには入っていない」
なにをどう言っていいのかわからなかった。
「三年前、最後の警告のつもりで俺は忠告したんだ。だが、最近になってまた婚約していると吹聴し始めた。これ以降は弁護士を立てて話をすることにしたよ」
弁護士と聞いてハッとした。それほど深刻なのか。
「夕べ、父と母にあらためて事情を説明し理解を得た。今度こそ解決する」
そこまで言った彼は、ゆっくりとワインを飲む。
「美味いな、このワイン」
「うん」
深い豊潤な香りと味わいだ。詳しくない私でも美味しいってわかる。
甘いだけじゃない。渋みもある。時間をかけてこの複雑な風味ができたように、航輝さんだって、今まで悩みがなく生きてきたわけじゃないのだ。すべてに完璧に見えても、そう思わせる努力があったはず。
なにをどう言っていいのかわからなかった。
「三年前、最後の警告のつもりで俺は忠告したんだ。だが、最近になってまた婚約していると吹聴し始めた。これ以降は弁護士を立てて話をすることにしたよ」
弁護士と聞いてハッとした。それほど深刻なのか。
「夕べ、父と母にあらためて事情を説明し理解を得た。今度こそ解決する」
そこまで言った彼は、ゆっくりとワインを飲む。
「美味いな、このワイン」
「うん」
深い豊潤な香りと味わいだ。詳しくない私でも美味しいってわかる。
甘いだけじゃない。渋みもある。時間をかけてこの複雑な風味ができたように、航輝さんだって、今まで悩みがなく生きてきたわけじゃないのだ。すべてに完璧に見えても、そう思わせる努力があったはず。



