双子パパは今日も最愛の手を緩めない~再会したパイロットに全力で甘やかされています~

 声をかけてきた肉食系のイタリア女と話をしながら、地獄絵図の船内に背中を向けてデッキに立ち景色を眺めていると、ノーサンキューという声をともに『もういや』と日本語の呻き声が聞こえた。

 振り向くと、若い女がデッキに手を掛けうずくまっていて、いかにもナンパな男が彼女の肩に手をかけていた。

それが茉莉だったのである。

 茉莉は童顔なのも相まって、かわいらしい。いくらか痩せ気味とはいえ日本人では標準体型だが、ヨーロッパでは華奢に見える。キュートで美人な女性の一人旅とみてナンパする男がちらほら見えた。

 はっきりノーと拒絶する姿に感心していたが、具合が悪いところをつけ込む男の様子はいかにも怪しく、見ていられずに声をかけたのだ。

 スイートルームに誘ったからと、もちろんどうこうするつもりはなかった。

 どちらかといえば迷い猫でも拾った気分だった。

根は明るいのだろう。意気消沈していたかと思えば、元気そうに笑ってみたり、ころころと表情を変えるから見ていて飽きない。