嬉しかった。
でも、同時に『彼女のかわり』にされたのが、少し悲しかった。
「先輩…」
「ん?」
あたしたちは今、帰り道の途中の川原沿いを歩いていた。
「明日、卒業しちゃうんですよね…?」
「…おー」
そう、明日で渡辺先輩たち3年生は卒業してしまう。
「寂しく、なりますね」
「お?嬉しいねー」
本気で、そう思った。
そして、今日で一緒に帰れるのは多分、最後。
そう思うと、なんだか泣けてきた。
目頭が熱くて、目には涙が溢れんばかりに溜ってたけど、無視した。
溢れないようにと先輩にバレないように、少し上を向いた。
先輩はいつも家まで送ってくれた。
先輩の家は、あたしの家から1キロぐらい離れているのだけど。
「先輩…ありがとうございました」
「いいって!女の子を送るのは男の役目だ!」
「あはは…」
あたしは自分でも分かるぐらい力なく笑った。
「白井…?」
「先輩…今までありがとうございました…」
「な、なんだよ急に」
「先輩」