「部長。単刀直入に言います。川村はこのままSUNAを辞めさせます。先ほど病院に寄ってきたんです。最初、俺のこともわからなかった」

「まあ、落ち着きなさい。それで、記憶は?」

「ようやく思い出してくれました。俺のことをきっかけに会社のことも関連して思い出したようです。最後はそのことを話していました」

 部長は嬉しそうにうなずいた。

「そうか、よかった。僕もあそこへ行かせた手前、責任がある。記憶を失ったままになったらどうしようかと気が気じゃなかった。そうか、戻ったなら、本当に良かった。さすが彼氏だな」

「こんなことになったのも、すべて俺の目論見が甘かったせいです。ここを辞めるとき、一緒に出ようと彼女にと言ったんですが拒否されて……こんなことになるんなら無理やりやめさせればよかった」