どんな君でも愛してる


 そしてそのお嬢さんも、初めて会った並木さんを、その場で気に入ったのでお付き合いしてみてくれないかともちかけたそうだ。だが彼にすぐ拒絶されたと苦々し気に話していた。彼から何も聞いていなかった私は驚いた。

 社長は、数か月前にノアケミカルの社長、つまり信也さんのお父様から提携関係の大幅な縮小と信也さんの退社を求められたそうだ。

 でも北野化学が離脱した今、社長にとってそれは受け入れがたかった。ノアケミカルの新商品をもっとうちに卸してもらうことを条件に、彼の退社を検討すると言ったことを打ち明けられた。信也さんからそれは聞いていたので知っていた。

 本当は退社を許す気がなかったが、あの後、信也さんがノアケミカルの社長であるお父様を説き伏せて、より多くのノアケミカルの新商品をうちへ納入契約を結ばせた。だから、社長は退社を許した。それでも将来が不安なんだろう。

 以前は北野化学のお嬢様もここにいた。ノアケミカルの御曹司である並木さんと彼女が結婚し、ノアケミカルと北野化学が合併してうちと取引を続けてくれたら万々歳だったのに、君のせいでこんなことになったと吐き捨てるように言った。