でもそれを説明したところで彼女が転職に頷くとは思えなかった。仕事にプライドのある子だ。自分で納得しない限り、辞める気にはなれまい。
俺は諦めて、もうそのことに触れるのをやめた。
「そういえば凛花。聞いていなかったが、君の実家はどこ?」
「この沿線よ……四十分くらい先だから近いんだけどね、実は両親が不仲になって今別居中。実家はひとりで母が住んでる。一緒にいると色々言われるからあまり帰りたくないの」
凛花は下を向いて言葉を選びながら話す。珍しい。凛花がこんな顔をするのを初めて見た。これは何かあるな。
「一人っ子って前言ってたよな」
「うん。私、手術跡があるでしょ。小さい頃から身体が弱くて両親は私にかかりきりだったらしいの。それで、兄弟作ることも無理だったって」



