どんな君でも愛してる


 これから、転職すれば彼女とも簡単には会えなくなるだろう。俺はノアに戻るなら今のマンションから通うのは難しい。つまり、実家のほうへ戻るのだ。

「ねえ、マンションの荷造りは進んでる?私、そっちで手伝うつもりだったのに……」

 俺は凛花が紅茶を入れるのを見ていた。彼女は母と一緒で紅茶が好きだ。アールグレイが一緒なところも同じ。聞いたときは驚いた。ただ、好きなブランドは違うようだが、母に会わせたらきっと喜んでくれるだろう。

 ダイニングのテーブルには一本の花が飾ってある。マーガレットだ。凛花が鉢で育てている。白い花に黄色いしべ。真っ白な心を持つ彼女。お日様を向いて細いけれどもしっかり生きているさまが彼女を想像させる。

「あんな段ボールばかりの部屋なんてまっぴらごめんだね。それに、仙台から引っ越してきて間もないからまだほとんど段ボールのままだろ。凛花に手伝ってもらうことなんて何もないよ」

「そういえばそうね、あなたの部屋のチェストの中、ダンボールがそのまま入っていたわね」