「うん。北野さんも一緒に入ってたよ。あ、凛花が知らないわけないか」 「うん、もちろん。それにしても、しょっちゅうだけどね」 「本当だよね。何考えてるんだろう、あの社長……」 本当にその通り。北野化学の社長は二週間に一度くらいは必ず来てる。 その都度、娘である彼女を営業部に呼び出す。仕事中だっていう意識が親子ともにない。 つける薬もないとはこのことかもしれない。人事部長の苦悩もここにある。 「ねえ、凛花」