満を持して自分の取引のある部署へ異動した?秘密と言っていた。何が秘密なの?北野さんとの縁談のこと?
私は落ち着かなくなり、その日とうとう定時退社して、彼の住むマンションの下にある併設のカフェで彼を待つことにした。彼がまだ事務所にいるのを確認してから退社した。待つと連絡すればいいのにそれもしなかった。
メールが何人かから来ていた。木崎君からは何か気に障ることを言ったならすみませんと丁寧にメールが来ていた。
加菜からメールが来ていた。冒頭の一文だけ目に入り、開けられなくなった。
「凛花。並木さんってノアケミカルの御曹司だって本当?」
私は何も返信できず、その文章を凝視した。木崎君の言った通りだった。おそらく、北野さんの言ったことはすべて本当だ。
私だって知らなかったんだよって返信するの?出来るはずない。携帯を持つ手が震えだした。相川君からも連絡が来ている。



