どんな君でも愛してる


 彼の秘密がなんなのか、もしかすると北野さんの言ったことじゃないんだろうか。

 そして、彼が彼女の結婚相手になるかもしれなかったと聞いて、私は最初の出会いの日のことを思い出していた。

 思い当たることはある。北野さんが彼にすりよっていたこと。彼に冷たくされて機嫌が悪かったこと。

 海に行くあの日乗ってきた車。あの車種を考えると彼はどこかお金持ちの息子さんだった可能性が高いと今更ながら青ざめた。

 そういえば、大人だからだと思い込んでいたこと、食事の時の綺麗な食べ方、堂々としたところ、服装。靴。見て見ぬふりをしていたのは私だったのかもしれないと怖くなった。

 北野さんから言われたことが頭の中を駆け巡り、その日午後は仕事にならなった。

 あと三日あれば自然と教えてもらえるはずだ。このまま聞かずに我慢すべきなのかもしれないと思った。それに、彼のことを責められない。私だって結構な秘密を抱えている。