四月。新学期。

いよいよ今日から、
私の高校二年生としての生活が始まる。

「ほんとにお弁当なくていいんだよね?」
「だから、今日午前授業って言ってるじゃん」

もうお母さんったら、心配性なんだから。

「分かった、いいのね。じゃあ、気をつけてね、行ってらっしゃい」

「うん!行ってきます」

今年こそは恋……できたらいいな。 
そんな期待をしつつ、私はスクールバッグ片手に家を出た。



ドアを開けた瞬間、春の柔らかな風が全身を包んでいくのが分かった。
今なら何でも出来そう、なんていう根拠の無い自信がみなぎってくる。
そんな風だった。

私は周囲に人がいないのを良いことに、
お気に入りの歌を口ずさみ、
スキップをしながらバス停へと向かった。