鐘の音が、運命の人だって教えてくれた。

***


 リーン ゴーン リーン ゴーン……。

 校門前に立つ男子生徒に、意志の強そうな瞳でじっと見つめられ、わたしはその場から動けなくなった。


「そこの女子。クラスと名前」

 鐘が鳴り終わると、校門の手前で呆然と突っ立ったままのわたしに向かって、ぶっきらぼうな声が掛けられる。

「汐見……菜々子です。あの……先輩の、お名前は?」

 ぽーっとしたまま目の前に立つ先輩に問いかけると、ぎゅっと眉間にシワが寄せられる。

「は? なぜ言う必要がある?」


 そんなことを言わず、せめてお名前だけでも……!


「はいはい。そーいうとこだよ、和樹」

 気付いたら別の先輩が目の前にいて、さっきの先輩の肩に片腕を回すと、もう片方の手で手刀を切る。

「ごめんなー。悪いヤツじゃないってのはオレが保証するけど、こいつ、とにかく愛想がなくてさー」

「い、いえ……」

「こいつは、風紀委員長の岩瀬和樹。そんでオレが、副委員長の三谷隼人。よろしくな」


 岩瀬和樹先輩……そっか。風紀委員長なんだ。


 岩瀬先輩の顔をじっと見つめていると、なんとも言えない微妙な表情を浮かべた岩瀬先輩が、ふいっと顔をそらす。