契約シンデレラ

「ところで、圭史さん」

食事も進みほぼ食べ終えた頃になって、晶が俺を呼んだ。

「ん、どうした？」

何か言いたいことがありそうな、それでいて言いにくそうな表情の晶が俺を見ている。

「今日のお昼休憩に少し外出してもいいですか？」
「外出？」

今日は一日社内勤務で外へ出る予定もなかったから、問題はないのだが・・・
少し、嫌な予感がする。

「実は、真也さん、いえ、海田先生に誘われていて・・・」

やはりそういうことか。

「ふーん」
正直面白くなくて、顔に出てしまった。

昨夜いきなり俺との同居を知った海田先生が、晶に事情を聞こうとするのは当然のことにも思える。
俺が逆の立場なら、同じ行動に出るかもしれない。
それでも、素直に送り出してやる気持ちにはなれないが・・・

「午後も来客の予定があるから、遅くならないようにしてくれ」
「はい」

さすがに休憩時間の行動まで止めることはできず渋々了承したが、できることなら行かせたくないな。