契約シンデレラ

「晶？」

え？
圭史さんの後に続いてコンビニを出たところで声がかかり、足が止まった。

「何ですか？」

訝し気にかけられた声に反応したのは、名前を呼ばれた私ではなく圭史さんの方だった。

「どうして社長と晶が？」

私と圭史さんを交互に見ながら、真也さんの不安そうな表情。
そりゃあそうよね。
圭史さんは大企業の社長で、間違っても私と一緒にいるような人ではない。
きっと、一緒にいるだけで違和感を覚えてしまうくらい釣り合ってはいないのだろう。

「あなたに説明する必要がありますか？」

静かな声で答える圭史さんから漂う言い知れぬ威圧感は、帰宅が遅くなった私に対する怒りなのだろう。
そして、そのことに後ろめたさを感じている私は何も言えずにその場にいた。

「ぜひ、伺いたいですね。晶のことは妹のように思っていますので」

いつも温厚な真也さんもなぜが引く気はないようで、私と圭史さんも目の前まで歩み寄ってきた。

「晶、どういうことだ？」
「えっと・・・」

さあ困ったぞ。
どう説明するのが一番いいのだろうか。