契約シンデレラ

圭史さんに抱きしめられたまま、私はソファーに埋もれていた。
流れ出てしまった涙が抑えていた感情を一気に放出させたようで、私は圭史さんに身を任せた。
人を好きになるのに理屈は無いのだと聞いたことがある。それでも皆何かしらの背景を背負っていて、その感情としがらみの間で恋をするのだと思う。
圭史さんのことを思うなら、私はそばにいるべきではない。そう思って、今日ここへ来た。
しかし、本心では圭史さんを求めていたことを否定はできない。
結局、彼の熱意に負けたのかもしれないし、自分の本能が抑えられなかったのかもしれない。

「不安にさせて悪かったな」
「そんなことない」

決して圭史さんが悪いわけじゃない。
それだけ私と圭史さんとの距離が遠かったってことだろう。

「晶、俺はお前を愛し」

プププ プププ
とっても良い雰囲気になったその時、圭史さんのスマホが鳴った。