契約シンデレラ

ここに住んでたったの数ヶ月だけれど、それなりに愛着だってある。
せっかくきれいでおしゃれなマンションだから綺麗しにしておきたいという気持もある。
もうここに来ることはないかもしれないけれど、せめてゴミくらいは片づけようと動き回った。
とはいえ、心の奥では圭史さんに対する未練を気づけれないようにと必死だった。

「じゃぁ、もう少し手頃で一緒に住めるマンションを探すか？」
「はぁ？」

一瞬、何を言われているのかわからなかった。
このときの私の頭の中は、圭史さんの負担になってはならないし邪魔をしてはならないとそれだけだったのに、圭史さんにとっての優先事項は違ったらしい。
それが本心なのか一時の気の迷いなのか、私には計り知ることもできない。

「このマンションが高級で嫌なんだろう？だったらどこかに引っ越しをしよう。それでいいだろ？」
「な、何を馬鹿なことを言っているんですか」

私は思わず声が大きくなった。