翌朝六時。
仕事の時の癖で私は早い時間に目覚めた。
寝室からつながった専用の浴室でシャワーを浴びて着替えを済ませ、下のフロアに降りるまで圭史さんと顔を合わせることもなかった。

「おはよう」
「おはようございます」

きっとまだ圭史さんは眠っているのだろうと思ったのに、すでに着替えてパソコンに向かっている姿を見て驚いた。
上流階級のお金持ちは楽してお金を儲けていつも遊んで暮らしているのかと思っていたのに意外だった。

「着替えを用意してあるから適当に選んでくれ」
「え、着替えですか?」

もしかしてセクシーな衣装でも着せられるのかと一瞬身構えると、用意してあったのはブラウスとスカートとパンツ。後はセットアップのジャケットだった。
どうやらビジネス用の服に着替えろって意味らしい。
確かにTシャツにジーンズではスーツ姿の圭史さんの隣りに並ぶことはできないかと納得した。

「暑いからジャケットは着なくていいぞ」
「はい」
「それと、ロビーからは秘書が同行するから、困ったことがあれば彼に聞いてくれ」
「はい」

どうやら本当に私を帯同させるつもりらしいけれど、一体何をさせるつもりかしら。