契約シンデレラ

「それで、どうした?」

定時後、私は真也さんと会社近くにあるカフェにいた。
やはり圭史さんは定時になっても戻って来なくて、私は6時過ぎに退社したのだ。

「今何が起きているのか、教えて欲しいの」
「何がって・・・」
真也さんが困った顔をした。

圭史さんの様子から何かトラブルが起きているのは私にもわかる。
それが昨日の個人情報漏洩事件にかかわることなのか、別のことなのかはわからないが、良くない状況なのは確かだろう。
もちろん、こんな時は圭史さんに直接事情を聞くのがいいと思うけれど、なにしろ忙しそうでとりつく暇もない。
だから、真也さんに連絡をとったのだ。

「真也さんなら何か知っているかと思ったのだけれど・・・」

非常勤の真也さんが昨日今日と龍ヶ崎建設に出勤していたのも、おそらくそのことにかかわりがあるのだろうと思う

「今、何が起きているの?」
私は真っすぐに真也さんを見た。