契約シンデレラ

「周囲の声なんて気にするなよ」
「うん、そうね」

一度きりの人生、自分の気持ちに素直に生きるのが幸せなのだろうと思う。
それでもみんながたくさんのしがらみを抱えていて、大切に思うからこそ自分の気持ちだけで突っ走ることはできない。
もちろん思いは声に出し行動に移さなければ伝わらないと頭では理解している。頭ではね。
でも、心が悲鳴をあげるのだ。

「本当に、それが晶の本心か?」
「ええ」

私には圭史さんを幸せにすることができない。
ここ数ヶ月側にいて、そのことに気づいてしまった。
好きだからこそ、私たちは離れるべきなのだ。

「理央のアパートに帰ります。今までありがとうございました」
「俺は認めないぞ」
「え?」

文句は言いつつも私の気持ちを理解してくれると思っていたのに・・・
まさか反対されるとは思っていなくて、私は口を開けたまま固まった。
結局、私も圭史さんも両方が納得できる結論は出ないのだと思う。
それでもこのままってわけにはいかないから、なんだかの答えを出さないといけないのだ。